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求人票の通勤手当(交通費)の書き方|実費支給・上限・一定額の違いとハローワークの記入例【介護】

求人票の通勤手当は、「交通費支給」とだけ書かれていることがあります。ただ、応募する人から見ると、実際にかかった交通費が全額出るのか、上限があるのか、車で通う場合はどうなるのかが分かりません。書く側にとっても、「通勤手当は必ず払わなければならないのか」「パートにも正職員と同じように払う必要があるのか」「上限はどう決めればよいのか」と迷いやすい項目です。

この記事の結論

  • 通勤手当は、法律で支払いが義務づけられた手当ではありません。払うかどうか、いくら払うかは施設が決めます。ただし払う場合は賃金の一部で、求人では通勤手当について明示します(職業安定法に基づく指針が、賃金について明示する事項に通勤手当を挙げています)。
  • 「交通費支給」だけでは、全額出るのか上限があるのかが分かりません。実費か一定額か、上限額、月額か日額かまで書き、車で通える職場ならマイカー通勤の可否と駐車場の有無・料金も書きます。
  • ハローワークの求人では、通勤手当は必ず入力する欄です。「実費支給(上限あり)」「実費支給(上限なし)」「一定額」「なし」から選びます。「実費支給(上限あり)」か「一定額」なら、月額か日額かと金額もあわせて入れます。
  • パートや有期雇用の職員にも、正職員と同じ通勤手当を支給するのが原則です(同一労働同一賃金ガイドライン)。出勤日数が少ない人には日額で払う形が、問題とならない例として示されています。
  • 通勤手当は最低賃金の計算に入りません。所得税は限度額まで非課税で、マイカー通勤は片道の距離で限度額が決まります(2026年4月からは駐車場代の加算も始まりました)。

以下では、通勤手当を払うかどうかの決まり、求人票に書いておくこと、ハローワークの求人票での書き方と介護施設の記入例、パート職員の通勤手当、最低賃金・割増賃金・税金・保険料での扱い、訪問介護の移動の費用との違いを、法令と厚生労働省・ハローワーク・国税庁・日本年金機構の資料をもとに整理します。

通勤手当は「払うかどうか」から施設が決める

通勤手当には、支払いを義務づける法律がありません。厚生労働省の検討会の資料(2012年)は、通勤にかかる費用について「使用者が支給することは義務付けられておらず」、通勤手当の支払いを強制する法律はないと整理しています。厚生労働省のモデル就業規則も、どのような手当を設けるか、その金額をいくらにするかは、各事業場で決めることになると説明しています。

ただし、払うと決めた通勤手当は賃金の一部です。同じ検討会の資料は、通勤手当を「労働の対償」として払われる労働基準法上の賃金と整理しています。常時10人以上の労働者を使用する施設では、賃金の決め方や計算の方法は就業規則に書く事項なので、通勤手当を払うなら、その決め方も就業規則(賃金規程)に定めます。モデル就業規則の規定例は、「通勤手当は、月額〇〇円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する」という形です(金額の部分は空欄になっています)。

求人を出すときは、職業安定法により賃金を明示しなければなりません。職業安定法に基づく指針は、賃金について「賃金形態(月給、日給、時給等の区分)、基本給、定額的に支払われる手当、通勤手当、昇給に関する事項等について明示すること」と定めていて、通勤手当は明示する事項として名前が挙がっています。また、明示する内容を虚偽や誇大なものにしてはならず、求人の情報で虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をすることも禁じられています。

出典:厚生労働省「通勤手当について」(第2回 社会保険料・労働保険料の賦課対象となる報酬等の範囲に関する検討会 資料1・平成24年9月20日)/厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)第36条・第35条〜第39条の解説/労働基準法 第11条・第89条/職業安定法 第5条の3・第5条の4、職業安定法施行規則 第4条の2第3項/職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者…等がその責務等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)第三の一の(三)イ・ハ 検討会の資料を見る モデル就業規則を見る 労働基準法を見る 職業安定法を見る 職業安定法施行規則を見る 指針を見る

「交通費支給」だけでは伝わらない。書いておく4つのこと

求人票の通勤手当で、応募する人が知りたいのは「自分の通い方だと、いくら出るのか」です。次の4つを書いておくと伝わります。

  1. 払い方(実費か一定額か):実費支給は、通勤に実際にかかる費用(電車・バスの運賃や定期代など)に応じて払う形です。一定額は、通勤の費用や距離に関係なく決まった額を払う形です。
  2. 上限の有無と上限額:実費支給でも上限がある場合は、その額を書きます。
  3. 月額か日額か:毎月決まった額(1か月の定期代など)か、出勤した日数に応じた額かを書きます。
  4. 車で通えるか:マイカー通勤ができるか、駐車場があるか、駐車場は有料か無料かを書きます。
払い方書き方の例
実費・上限なし実費支給(全額)
実費・上限あり実費支給
(上限 月〇〇円)
一定額一律 月〇〇円
なし通勤手当なし

車で通う人への手当を、片道の距離に応じた額で払うなど、施設の決まりで計算している場合もあります。ハローワークが高校生向けに出している「求人票の見方」も、「通勤手当が実費ではなく、会社規定の計算方法により支給される場合があります」と注意を促しています。施設の決まりで計算するなら、「マイカー通勤は片道の通勤距離に応じて支給」のように、計算の考え方まで書いておきましょう。

通勤手当を払わない場合も、払わないことが分かるように書きます。ハローワークの求人では通勤手当は必ず入力する欄で、払わない場合は「なし」を選びます。求人サイトや自施設の採用ページでも、書いていないと応募する人が「出るのか出ないのか」を問い合わせる手間が増え、面接の段階での行き違いのもとになります。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人票(高卒)の見方」(⑬通勤手当・④就業場所・マイカー通勤)/厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人情報の入力のしかた」(通勤手当の欄) 求人票の見方を見る 求人情報の入力のしかたを見る

ハローワークの求人票での書き方

ハローワークの求人情報の入力画面(紙の求人申込書もほぼ同じ項目)には、通勤手当と車での通勤について次の欄があります。

  • 通勤手当(必須):「実費支給(上限あり)」「実費支給(上限なし)」「一定額」「なし」から選びます。「実費支給(上限あり)」なら上限額を、「一定額」ならその額を、月額か日額かとあわせて入れます
  • マイカー通勤(必須):「可」か「不可」を選びます
  • 駐車場の有無(必須):「あり」の場合は、有料か無料かを「求人に関する特記事項」の欄に書きます

ハローワークの「求人申込書の書き方」の記入例(グループホームで働く介護福祉士の求人)では、通勤手当は「実費支給(上限あり)」を選び、月額で上限額を書いています。また、求職者がハローワークで求人を検索したときの結果一覧では、当てはまる求人に「通勤手当あり」「マイカー通勤可」のアイコンが付いて強調して表示されます。

介護施設の求人に当てはめると、次のような書き方になります(金額は〇〇で伏せています。払い方や金額は自施設の決まりに置き換えてください)。

書き方の例1:特別養護老人ホーム(正職員)
通勤手当:実費支給(上限あり) 月額 〇〇円
マイカー通勤:可
駐車場の有無:あり
求人に関する特記事項:通勤手当は、電車・バスは1か月の定期代、マイカー通勤は片道の通勤距離に応じた額を支給(上限 月〇〇円)。職員駐車場は無料。

書き方の例2:デイサービス(パート・週2〜3日)
通勤手当:実費支給(上限あり) 日額 〇〇円
マイカー通勤:可
駐車場の有無:あり
求人に関する特記事項:通勤手当は出勤した日数に応じて支給(1日の上限 〇〇円)。駐車場は無料。

出典:厚生労働省・ハローワーク「求人申込書の書き方」(記入例)/厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人情報の入力のしかた」(就業場所・マイカー通勤・駐車場の有無、賃金・手当の欄、求職者が注目する情報) 求人申込書の書き方を見る 求人情報の入力のしかたを見る

パート職員の通勤手当

パートタイム・有期雇用の職員の待遇について、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」(2026年10月1日から改正後のものを適用)は、「短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならない」としています。正職員には通勤手当を払い、パートには払わないという形は、この考え方と合いません(不合理な待遇差と判断されるおそれがあります)。

一方で、ガイドラインは、次のような形を「問題とならない例」として挙げています。

  • 所定労働日数が多い(例えば週4日以上)人には月額の定期券の金額に相当する額を、所定労働日数が少ない(例えば週3日以下)人や出勤日数が変動する人には日額の交通費に相当する額を支給する
  • 本社で採用する人には交通費の実費の全額を、店舗ごとに採用する人には近隣から通える交通費に相当する額を上限として支給し、店舗採用のパートが本人の都合で上限の額では通えないところへ転居しても、上限の範囲で支給する

正職員とパートで払い方を変える場合も、パートの求人には「日額〇〇円(上限 月〇〇円)」のように、パートに当てはまる払い方を書きます。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針・平成30年厚生労働省告示第430号、令和8年10月1日適用の改正後)第3の4(8) ガイドラインを見る 厚生労働省のページを見る

扶養内で働く人の求人は、金額が分かる書き方に

2026年4月から、健康保険の扶養に入るときの年収を、労働条件通知書などに書かれた賃金(諸手当を含む)から見込んで判定する取扱いが始まりました。日本年金機構は、「通勤手当有」などとなっていて手当の金額が分からない場合を、この取扱いで認定できない例に挙げています。

扶養内で働きたい人を募集する求人では通勤手当の上限額まで書き、採用するときの労働条件通知書には、その人に支給する通勤手当の額を書いておきましょう。扶養の線と求人票の書き方は、扶養内パートの求人票・労働条件通知書の書き方の記事でまとめています。

出典:日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(留意事項) 日本年金機構の案内を見る

最低賃金・割増賃金・税金・保険料での扱い

通勤手当は、制度によって扱いが違います。払い方や上限額を決めるときの参考に、まとめておきます。

場面通勤手当の扱い
最低賃金の計算入れない
割増賃金の基礎入れない※
所得税限度額まで非課税
社会保険料計算に入る
労働保険料計算に入る

※ 通勤距離や通勤に実際にかかる費用に応じて計算する手当に限ります。距離や費用に関係なく一律の額を払う場合は、割増賃金の基礎に入れます。最低賃金の確認では、一律の額で払う通勤手当も除いて(厳しめに)確かめておけば安全です。

最低賃金は、通勤手当を除いて確かめる

厚生労働省は、最低賃金の対象となる賃金から除くものとして「精皆勤手当、通勤手当及び家族手当」を挙げています。月給の求人では、通勤手当を除いた額を時給に直して、地域の最低賃金以上かどうかを確かめます。計算のしかたは、最低賃金の改定で求人票を見直すポイントの記事で説明しています。

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」/最低賃金法 第4条第3項 厚生労働省のページを見る 最低賃金法を見る

一律の額で払う通勤手当は、残業代や深夜割増の計算に入る

時間外・休日・深夜の割増賃金を計算するときの元になる賃金から、通勤手当は除くことができます。ただし、除けるのは通勤距離や通勤に実際にかかる費用に応じて計算する手当です。厚生労働省のリーフレットは、通勤にかかった費用に応じて払うもの(例:6か月定期券の金額に応じた額)は除けるが、通勤の費用や距離に関係なく一律に払うものは除けないとしています。手当の名前ではなく中身で決まるので、一律の額で払っている場合は、その額を残業代や夜勤の深夜割増の計算に入れます。夜勤の深夜割増の計算は、夜勤の最低賃金の記事でまとめています。

出典:労働基準法 第37条第5項・労働基準法施行規則 第21条/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「割増賃金の基礎となる賃金とは?」(2024年3月) 労働基準法を見る 労働基準法施行規則を見る 厚生労働省のリーフレットを見る

所得税は、限度額まで非課税

給与に加えて払う通勤手当は、1か月あたりの限度額までは所得税がかかりません。限度額は通い方で決まります。

  • 電車・バスだけで通う人:最も経済的かつ合理的な経路・方法で通った場合の定期代などの額(1か月15万円まで)
  • マイカー・自転車で通う人:片道の通勤距離に応じた額(下の表)
  • 電車・バスとマイカーなどを両方使う人:両方の額の合計(マイカーなどの片道の距離が2km未満なら電車・バスの分だけ。1か月15万円まで)
片道の
通勤距離
非課税の限度額
(1か月)
2km未満全額課税
2〜10km4,200円
10〜15km7,300円
15〜25km13,500円
25〜35km19,700円
35〜45km25,900円
45〜55km32,300円

「2〜10km」は「2km以上10km未満」の意味です(ほかの行も同じ)。55km以上も10kmごとに区分があり、95km以上は1か月66,400円です。

2026年4月1日以後に払う通勤手当からは、片道65km以上の区分の限度額が引き上げられたほか、勤務先の周辺などにある一定の駐車場を使って料金を負担している人(片道2km未満の人を除く)は、上の額に1か月の駐車場の料金に相当する額(上限5,000円)を加えた額が限度額になりました。限度額を超えて払った分は給与として課税されます。パートやアルバイトでも、限度額は月単位で計算します。マイカー通勤の上限額を決めるときの目安になります。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2582「電車・バス通勤者の通勤手当」・No.2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」 No.2582を見る No.2585を見る 改正のあらましを見る

社会保険料・労働保険料の計算には入る

日本年金機構は、給与規定に定めのある通勤手当は、厚生年金保険の保険料のもとになる標準報酬月額の対象となる報酬に含まれるとしています。定期券で渡す場合や、数か月分をまとめて払う場合も同じです。健康保険法の「報酬」も、名称を問わず労働の対償として受けるすべてのもの、と同じ形で定められています。労働保険料(労災保険・雇用保険)の計算でも、通勤手当は賃金の総額に入り、福井労働局の早見表では所得税が非課税の分も含むとされています。所得税がかからない範囲の通勤手当でも、保険料の計算には入るということです。

出典:日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。」/健康保険法 第3条第5項/福井労働局「賃金総額算入早見表」 日本年金機構のQ&Aを見る 健康保険法を見る 福井労働局の早見表を見る

訪問介護は「通勤」と「訪問先への移動」を分けて書く

訪問介護では、事業所から利用者宅へ、利用者宅から次の利用者宅へと移動しながら働きます。厚生労働省の通達は、事業場・集合場所・利用者宅の間を移動する時間について、使用者が業務に必要な移動を命じ、その時間を自由に使えないと認められる場合は労働時間に当たるとしています。

同じ通達は、訪問介護の職員が利用者宅へ移動する費用について、事業の必要経費としての性格があり、事業所が実費弁償として払う旅費・交通費などは、一般的には労働の対償ではないので賃金とは認められないとしています(最低賃金の比較にも入れません)。賃金の一部として払う通勤手当とは、性格が違うということです。

訪問介護の求人では、通勤手当とは別に、訪問の移動に使う手段(事業所の車や自転車か、自分の車か)と、自分の車を使う場合の費用の払い方を書いておくと、応募する人が実際の負担をイメージしやすくなります。

出典:厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日 基発第0827001号)2の(2)ア・(4)ウ 通達を見る

求人票の通勤手当のチェックポイント

  1. 「交通費支給」だけになっていないか(実費か一定額か、上限額、月額か日額かまで書いたか)
  2. 払わない場合も、「通勤手当なし」と分かるように書いたか
  3. マイカー通勤ができるか、駐車場の有無と有料か無料かを書いたか
  4. パートの通勤手当が、正職員と同じ考え方になっているか(日額にするなら、その払い方を書いたか)
  5. 最低賃金以上かどうかを、通勤手当を除いた額で確かめたか
  6. 一律の額で払っている通勤手当を、残業代や深夜割増の計算に入れているか
  7. 求人票・労働条件通知書・就業規則(賃金規程)で、通勤手当の決め方が食い違っていないか

まとめ

通勤手当は、払うかどうかから施設が決められる手当ですが、払うなら賃金の一部として、求人では払い方まで分かるように書く必要があります。「交通費支給」で終わらせず、実費か一定額か、上限額、月額か日額か、車で通えるかまで書いておくと、応募する人が自分の場合に当てはめて考えられ、入職後の「聞いていた額と違う」を防げます。求人票全体の書き方は介護の求人票の書き方、ハローワークへの求人の出し方はハローワークに求人を出す方法の記事でまとめています。判断に迷う場合は、管轄のハローワーク・労働基準監督署・税務署に確認してください。

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