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夜勤の最低賃金|夜勤手当は含む?深夜の時給の下限(都道府県別)と夜勤1回の計算【2026年度】

介護施設の求人に欠かせない夜勤。最低賃金が上がるたびに、「夜勤の時間の時給はいくら以上ならよいのか」「夜勤手当は最低賃金に含めてよいのか」と迷う場面が出てきます。

この記事の結論

  • 「深夜の最低賃金」という別の金額はありません。午後10時〜午前5時に働いた時間は、最低賃金以上の時給に25%以上の深夜割増を上乗せして支払うため、その時間の時給の下限は最低賃金の1.25倍です(大阪府なら1,231円 × 1.25 = 1,538.75円)。
  • 最低賃金を上回っているかを確かめるときは、深夜割増にあたる部分は計算に入れません。夜勤手当を除いた時給(月給なら時給に直した額)が最低賃金以上かで確かめます。
  • 夜勤手当に深夜割増を含めて払うなら、通常の賃金と深夜割増の部分を区別し、求人票にも内訳を書く必要があります。
  • 仮眠や休憩の時間でも、呼ばれれば対応しなければならない時間は労働時間にあたります。

以下では、深夜割増の考え方、夜勤手当の扱いと書き方、2交代の夜勤1回で必要な金額、仮眠時間の扱いを、法令と厚生労働省・都道府県労働局の資料をもとに整理します。記事中の金額は2026年度(令和8年度)のものです。都道府県別の深夜の時給の下限は、記事の最後に一覧でまとめています。

「深夜の最低賃金」はなく、最低賃金の1.25倍が下限になる

労働基準法では、午後10時から午前5時までの間に働かせた場合、その時間の労働について、通常の労働時間の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金(深夜割増)を支払うことが定められています。

一方、最低賃金と比べる賃金からは、深夜割増にあたる部分が除かれます。つまり、深夜割増を上乗せする前の時給そのものが最低賃金以上でなければならず、そのうえで25%以上を上乗せします。福井労働局の資料でも、深夜労働は「最低賃金+深夜割増賃金(25%)」以上の支払いが必要と示されています。

深夜(午後10時〜午前5時)の時給の下限 = 最低賃金(時間額)× 1.25
例:大阪府 1,231円 × 1.25 = 1,538.75円/東京都 1,280円 × 1.25 = 1,600円

基本の時給(資格手当など、深夜割増の元になる手当を含めた1時間あたりの賃金)が最低賃金より高い場合は、「その額 × 1.25」以上になります。また、残業(法定時間外労働)が深夜に及んだ場合は時間外の割増と合わせて50%以上(1か月60時間を超える時間外労働の部分は75%以上)、法定休日の労働が深夜に及んだ場合は60%以上の割増が必要です。

出典:労働基準法 第37条/最低賃金法施行規則 第1条/労働基準法施行規則 第20条/福井労働局「福井県の深夜割増賃金」 労働基準法を見る 最低賃金法施行規則を見る 労働基準法施行規則を見る 福井労働局の資料を見る

夜勤手当は最低賃金の計算に入る?

夜勤手当のうち深夜割増にあたる部分は、最低賃金の計算に入りません。最低賃金の計算から除かれる賃金のひとつが、「午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)」で、手当の名前が「夜勤手当」でも同じです。

また、夜勤手当は夜勤の回数で月ごとに金額が変わります。求人票や給与の設定で最低賃金を確かめるときは、夜勤手当を入れずに計算しておくと安全です。月給の時給への直し方と、ほかに計算に入らない手当(固定残業代・皆勤手当など)は、最低賃金の改定で求人票を見直すポイントの記事でまとめています。

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」 資料を見る

深夜割増の「元になる時給」には、皆勤手当なども入る

注意したいのは、最低賃金と比べる時給と、深夜割増を計算するときの元になる時給とでは、入れる手当が違うことです。たとえば皆勤手当・精勤手当は、最低賃金の計算には入りませんが、深夜割増の元になる賃金には入れなければなりません。深夜割増の元になる賃金から除けるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金に限られます。

手当最低賃金と
比べる時給
深夜割増の
元になる時給
資格・職務手当入れる入れる
処遇改善手当入れる※1入れる※1
皆勤・精勤手当入れない入れる
通勤・家族手当入れない入れない※2
住宅手当入れる入れない※2

※1 毎月の給与で払う分です。賞与や数か月ごとの一時金として払う分は、どちらにも入れません。
※2 深夜割増の元から除けるかどうかは、名前ではなく中身で決まります。住宅手当は、家賃の一定割合など住宅にかかる費用に応じて計算するものだけが除けます。全員に一律の定額で払う住宅手当、扶養家族の有無や人数にかかわらず一律に払う家族手当、通勤距離や費用にかかわらず一律に払う通勤手当は、元になる時給に入れます。

出典:労働基準法 第37条第5項・労働基準法施行規則 第21条/厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」/鹿児島労働局「よくあるご質問 Q7」 厚生労働省の資料を見る 鹿児島労働局のQ&Aを見る

夜勤手当に深夜割増を含めるなら、内訳を分けておく

「夜勤手当 1回〇円」の中に深夜割増を含めて払う形にすること自体は、法律の計算方法で出した深夜割増の額以上を払っていれば問題ありません。ただし、厚生労働省の資料では、割増賃金を定額で払う場合、割増賃金にあたる部分とそれ以外の賃金の部分を明確に区別する必要があり、深夜労働の割増分についても同じとされています。定額の分が法律の計算額に足りないときは、差額を支払う必要があります。

反対に、夜勤手当を深夜割増とは別の「夜勤そのものへの手当」として払っている場合は、夜勤手当とは別に深夜割増の支払いが必要です。自施設の夜勤手当がどちらにあたるのか、就業規則や賃金規程で確かめておきましょう。

求人票では、深夜割増を定額で含めた夜勤手当は「固定残業代」と同じ扱いになります。厚生労働省・ハローワークの資料では、固定残業代を名称にかかわらず「一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金」とし、求人に次の3つを明示するよう求めています。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働には、割増賃金を追加で支払うこと

書き方の例
基本給 〇円/夜勤手当 1回 〇円(深夜5時間分の深夜割増 〇円を含む。5時間を超える深夜労働には、割増賃金を追加で支給)

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 Q&A 基本給に含めた割増賃金って何?」/厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」 Q&Aを見る 表示の資料を見る

夜勤1回で確かめる(2交代の16時間夜勤の例)

2交代の夜勤を例に、夜勤1回で最低いくら必要かを計算してみます。

計算例:大阪府・時給1,231円(最低賃金と同じ額)の夜勤
勤務 17時〜翌9時(拘束16時間)/休憩2時間(午前1時〜3時)
→ 実際に働く時間は14時間、そのうち深夜(午後10時〜午前5時)は5時間

通常の賃金:1,231円 × 14時間 = 17,234円
深夜割増:1,231円 × 25% × 5時間 = 1,538.75円
合計:18,772.75円(夜勤1回あたり約18,773円以上)

この計算は、1か月単位の変形労働時間制で、夜勤の日の所定労働時間を14時間と定めている場合のものです。1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間あたり40時間以内(常時10人未満の保健衛生業の事業場などは44時間以内)に収まるように、対象期間のすべての労働日ごとの労働時間をシフト表などで前もって具体的に決めておくことで、特定の日に8時間を超えて働かせることができる制度です。決めた労働時間を任意に変えることはできません。労使協定で定める場合は労働基準監督署への届出が必要で、就業規則で定める場合も、常時10人以上の事業場は就業規則の届出が必要です。

変形労働時間制を使わずに1日8時間を超えて働かせる場合は、8時間を超えた6時間に時間外の割増(25%以上)もかかり、そのうち午前3時〜5時の2時間は時間外と深夜が重なって50%以上になります。この例では、夜勤1回あたり20,619.25円以上が必要です。あわせて、時間外労働をさせるには36協定の締結と労働基準監督署への届出が必要です。

出典:厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制」(リーフレットシリーズ労基法32条の2)/厚生労働省「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」 変形労働時間制の資料を見る 介護労働者の資料を見る

夜勤専従・日給の求人は「深夜割増を除いて」時給に直す

夜勤専従などで「夜勤1回 〇円」と日給で募集する場合、日給をそのまま実働時間で割って最低賃金と比べると、深夜割増の分まで含めて割ることになり、時給が高く出てしまいます。福井労働局の資料では、深夜割増を含んだ時給は1.25で割ってから最低賃金と比べる方法が示されています。この考え方を日給に当てはめると、次の式になります。

深夜割増を除いた時給 = 日給 ÷(実働時間 + 深夜の時間 × 0.25)
例:日給20,000円・実働14時間・うち深夜5時間 → 20,000円 ÷(14 + 5 × 0.25)= 20,000円 ÷ 15.25 = 約1,311円

この例なら、大阪府の最低賃金1,231円を上回っています(夜勤の日の所定労働時間を実働時間と同じに定めている場合)。日給に深夜割増を含める場合も、前の章のとおり、通常の賃金の部分と深夜割増の部分を区別しておく必要があります。

出典:福井労働局「福井県の深夜割増賃金」(裏面 例1) 資料を見る

仮眠・休憩の時間も、労働時間になることがある

夜勤中の仮眠を休憩として設定していても、その時間も呼ばれれば対応しなければならない場合は、休憩ではなく労働時間(手待ち時間)になります。休憩は働く人が自由に使える時間でなければならず、厚生労働省の資料では、代わりの職員が足りないために夜勤の休憩が取れていない例が挙げられています。

最高裁の判決でも、実際の作業をしていない仮眠時間であっても、警報や電話などにすぐ対応することが義務づけられている場合は労働時間にあたり、時間外割増や深夜割増を支払う義務があるとされています。

厚生労働省の資料では、賃金はいかなる労働時間についても支払わなければならないとされています。仮眠を休憩として扱うなら、交代の職員を決めるなどして、呼び出しに応じなくてよい状態にしておきましょう。休憩中にやむを得ず対応した場合は、あとで休憩を取れるようにし、取れなかった分は賃金を支払います。

なお、宿直など、断続的な業務として労働基準監督署長の許可を受けた勤務は、労働時間や休憩の規定の扱いが異なります。この記事では通常の夜勤を扱っています。

出典:彦根労働基準監督署「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」(滋賀労働局)/厚生労働省「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」/最高裁判所 平成14年2月28日 第一小法廷判決/労働基準法 第41条 彦根労働基準監督署の資料を見る 厚生労働省の資料を見る 判決を見る 労働基準法を見る

求人票と給与の設定で見直す4つのポイント

  1. 夜勤手当を除いて最低賃金以上か:基本の時給(月給なら時給に直した額)を、夜勤手当を入れずに最低賃金と比べます。
  2. 夜勤1回の支払いが最低額以上か:日給・夜勤専従の求人は、深夜割増を除いた時給に直して確かめます。
  3. 夜勤手当に深夜割増を含むかを明らかにする:含む場合は、通常の賃金と深夜割増の部分を区別し、求人票には固定残業代としての3つの記載を入れます。最低賃金が上がると深夜割増の計算額も上がるため、定額の夜勤手当がその額を下回っていないか、改定のたびに確かめます。含まない場合は、深夜割増を別に払います。
  4. 仮眠・休憩の扱いを決めておく:呼ばれれば対応する時間は労働時間として扱い、休憩にするなら実際に業務から離れられる体制をつくります。

まとめ

夜勤の時間の時給は「最低賃金 × 1.25」が下限で、最低賃金を上回っているかは深夜割増の部分を除いて確かめます。最低賃金が改定されたら、時給・月給の求人とあわせて、夜勤1回の支払い額や夜勤専従の日給、夜勤手当の内訳の書き方も見直してみてください。判断に迷う点は、都道府県労働局または労働基準監督署に確認してください。

参考:2026年度の都道府県別 深夜の時給の下限

「深夜の時給の下限」は、最低賃金(時間額)に1.25を掛け、福井労働局の資料と同じく1円未満を四捨五入(50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げ)した金額です。発効日はいずれも2026年で、発効日より前は前年度の最低賃金 × 1.25 が下限です。

都道府県最低賃金深夜の下限発効日
北海道1,131円1,414円10月1日
青森県1,090円1,363円10月29日
岩手県1,090円1,363円12月1日
宮城県1,098円1,373円10月1日
秋田県1,090円1,363円10月14日
山形県1,092円1,365円10月30日
福島県1,094円1,368円10月16日
茨城県1,136円1,420円10月18日
栃木県1,125円1,406円10月1日
群馬県1,120円1,400円10月3日
埼玉県1,196円1,495円10月1日
千葉県1,195円1,494円10月1日
東京都1,280円1,600円10月1日
神奈川県1,279円1,599円10月1日
新潟県1,108円1,385円10月1日
富山県1,119円1,399円10月1日
石川県1,113円1,391円10月3日
福井県1,112円1,390円10月4日
山梨県1,113円1,391円11月1日
長野県1,117円1,396円10月2日
岐阜県1,121円1,401円10月1日
静岡県1,154円1,443円10月15日
愛知県1,195円1,494円10月1日
三重県1,143円1,429円10月1日
滋賀県1,136円1,420円10月3日
京都府1,180円1,475円11月16日
大阪府1,231円1,539円10月1日
兵庫県1,172円1,465円10月1日
奈良県1,107円1,384円10月4日
和歌山県1,101円1,376円10月3日
鳥取県1,090円1,363円10月3日
島根県1,092円1,365円10月10日
岡山県1,104円1,380円10月2日
広島県1,141円1,426円10月11日
山口県1,101円1,376円10月8日
徳島県1,103円1,379円11月1日
香川県1,092円1,365円10月1日
愛媛県1,093円1,366円11月1日
高知県1,086円1,358円10月29日
福岡県1,114円1,393円10月4日
佐賀県1,095円1,369円11月15日
長崎県1,087円1,359円11月2日
熊本県1,092円1,365円12月1日
大分県1,096円1,370円11月1日
宮崎県1,085円1,356円10月24日
鹿児島県1,090円1,363円10月25日
沖縄県1,086円1,358円12月2日

出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」(深夜の下限は、この一覧の金額に1.25を掛けて計算) 資料を見る

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