ハローワークは、求人の掲載も職業紹介も無料で使える公的な窓口です。介護施設でも広く使われていますが、実際にどのくらい採用につながっているのでしょうか。
この記事では、厚生労働省と介護労働安定センターの統計から、ハローワークの介護求人の充足率や、採用に効果があったと答えた事業所の割合を整理します。あわせて、ハローワークからの応募が届く3つの経路と、応募が来たときに施設がやること、応募を増やすための見直し方をまとめます。制度の情報は2026年10月19日時点のものです。求人の申込み方法や必要なものは、ハローワークに求人を出す方法の記事でまとめています。
データで見る、ハローワークの介護求人
厚生労働省の職業安定業務統計(ハローワークの統計)から、2025年度の「介護サービスの職業」と全職業の数字を比べます。
| 2025年度 | 介護サービス の職業 | 全職業 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 3.84倍 | 1.10倍 |
| 充足率 | 7.2% | 11.5% |
| 充足率(パートタイム) | 6.8% | 15.4% |
| 充足率(パートタイムを除く) | 7.6% | 9.4% |
有効求人倍率は、ハローワークで仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表します。介護サービスの職業は3.84倍で、全職業の約3.5倍です。
充足率は、新しく出された求人の人数に対して、ハローワークを通じて就職した件数の割合です。介護サービスの職業は7.2%で、求人100人分に対して就職は約7人です。とくにパートタイムの求人は6.8%で、全職業(15.4%)の半分以下にとどまります。2021年度から2025年度までの5年間も、介護サービスの職業の充足率は7.0〜8.0%で推移しています。
※有効求人倍率と充足率は、統計表の実数(常用。上の2行はパートタイムを含む)から計算しています。充足率は「就職件数 ÷ 新規求人数」で、厚生労働省が全国の充足率に使っている計算方法と同じです。ニュースなどで目にする有効求人倍率(臨時・季節の仕事も含む数字)とは、対象が異なります。また、2022年度と2023年度の間で職業の分類が変わっているため、5年間の推移は目安です。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」雇用関係指標(年度)2025年度 第4表〜第8表(全国計)/統計用語の解説 統計表を見る 用語の解説を見る
ハローワークで介護の仕事を探している人
2025年度にハローワークで介護サービスの職業の仕事を探し始めた人(新規求職申込件数)は、女性が72.2%、50歳以上が58.0%で、60歳以上も31.1%います。35歳未満は15.1%で、全職業(24.6%)より少なくなっています。
介護の仕事が初めての方やブランクのある方も検討しやすいように、研修の内容や1日の流れ、夜勤の有無と回数など、働き方が具体的に分かる情報を求人に入れておきましょう。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」雇用関係指標(年度)2025年度 第7表(全国計・常用(パートタイムを含む)の新規求職申込件数から計算) 統計表を見る
介護事業所の約3分の2がハローワーク等を活用、活用した事業所の4割超が「効果あり」
介護労働安定センターの「令和7年度 介護労働実態調査」では、介護事業所に、行っている採用活動と、そのうち採用に効果があったものを聞いています。
| 採用活動 | 行っている | 行っている 事業所のうち 効果があった |
|---|---|---|
| ハローワークや福祉人材センターの担当者に相談 | 64.8% | 41.8% |
| 職員に友人・知人などの紹介を依頼 | 66.0% | 47.3% |
| 有料職業紹介所を活用 | 37.9% | 53.4% |
| 民間の有料求人情報サイトを活用 | 36.3% | 44.8% |
| 事業所のホームページで求職者へ発信 | 36.8% | 24.4% |
| SNSで求職者へ発信 | 16.3% | 27.6% |
ハローワーク等への相談は、職員への紹介の依頼と並んで最も多く行われている採用活動で、行っている事業所の41.8%が採用に効果があったと答えています。
効果があったと答えた割合は、最も高い方法でも5割台です。ハローワークを土台にしながら、ほかの方法も組み合わせておくことが大切です。
※調査の選択肢は「ハローワークや福祉人材センターの担当者に相談」で、ハローワークだけの割合は示されていません。
出典:介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」図表11-1-1・図表11-2-2 報告書を見る
介護の仕事をしている人の約5人に1人は、ハローワーク経由で就職
同じ調査で、介護の仕事をしている方に今の法人に就職した主な経路を聞いたところ、「ハローワーク」は19.4%で、「友人・知人からの紹介」(33.8%)に次いで多い経路でした。職種別では、介護職員で23.4%です。
出典:介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」図表13-1-1 報告書を見る
厚生労働省の「雇用動向調査」でも、2025年に「社会保険・社会福祉・介護事業」に入職した人のうち、ハローワーク(ハローワークインターネットサービスを含む)を経由した人は26.4%で、全産業(15.3%)を大きく上回ります。パートタイムで入職した人に限ると27.6%です。
※「社会保険・社会福祉・介護事業」には、保育や障害福祉などの事業所も含まれます。割合は統計表の実数から計算しています。
出典:厚生労働省「令和7年 雇用動向調査」第16表(産業別・入職経路別入職者数) 統計表を見る
充足率だけを見ると厳しい数字ですが、介護の仕事に就く人の入り口として、ハローワークは今も大きな経路です。応募がどう届くかを知り、求人の見せ方を整えておくことが大切です。
ハローワークからの応募は3つの経路で届く(紹介状の有無が違う)
ハローワークの求人への応募には、大きく分けて3つの経路があります。どの経路で届いたかによって、紹介状の有無や、ハローワークから連絡があるかどうかが変わります。
- 窓口での紹介:紹介の前に、ハローワークから施設へ電話で連絡があり、求人条件の確認や面接日時の調整をします。応募者は紹介状を面接に持参するか、書類選考の場合は応募書類と一緒に送ってきます。求人者マイページを開設していれば、紹介状はマイページでも受け取れます。
- オンラインハローワーク紹介:原則として、ハローワークから施設へ電話で応募を受けられるかの確認があります。応募があると、求人者マイページに紹介状が発行され、通知が届きます。
- オンライン自主応募:ハローワークからの連絡はなく、求人者マイページに応募の通知が届きます。紹介状は発行されません。
オンラインハローワーク紹介とオンライン自主応募は、2021年9月に始まった仕組みで、どちらも施設が求人者マイページを開設していることが前提です。オンラインハローワーク紹介は、ハローワークの窓口で職業相談を受けている求職者が使える仕組みで、窓口での紹介と同じく職業紹介にあたります。
オンライン自主応募は、求職者がハローワークインターネットサービスから直接応募する仕組みです。受け付けるかどうかは求人ごとに施設が選びます。事業所名を伏せた求人や非公開の求人では受け付けられません。応募の通知はマイページに届き、ハローワークからの連絡はないので、受け付ける場合はマイページを定期的に確認しておく必要があります。
出典:ハローワークインターネットサービス「オンラインハローワーク紹介について」「オンライン自主応募について」/厚生労働省「『求人者マイページ』がさらに便利になりました(令和3年9月21日更改)」 オンライン紹介を見る オンライン自主応募を見る 資料を見る
応募が来たら施設がやること
- 早めに応募者へ連絡する:オンライン自主応募は、マイページのメッセージ機能か電話で応募者に連絡し、面接日を決めます。応募の通知メールは、求人者マイページを開設したときのアカウント(親アカウント)のメールアドレスに届き、あとから追加したアカウントには届きません。担当者が複数いる施設は、誰が通知を受けているかを決めておきましょう。
- 選考結果をハローワークに登録する:窓口での紹介でもオンライン自主応募でも、選考結果はハローワークへの連絡が求められています。求人者マイページから登録でき、マイページがない場合は紹介状の裏面の「選考結果通知」を郵送・電話・窓口持参で返します。応募者本人への合否の連絡は、これとは別に必要です。なお、オンラインで届いた応募書類は、選考結果を登録するとマイページで見られなくなるため、必要なものは登録の前に保存しておきましょう。
- 求人票と違う条件で採用するときは、その内容も登録する:マイページで選考結果を登録するときは、求人票の労働条件と採用時の条件が違う場合、その内容も入力します。
出典:ハローワークインターネットサービス「選考結果の登録等」「応募者管理」/よくあるご質問(事業主の方)/厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人者サービスのご案内」 選考結果の登録を見る 応募者管理を見る よくあるご質問を見る 求人者サービスのご案内を見る
応募を増やすために見直したいこと
1. 有効期限が切れたままにしない
ハローワークの求人の有効期限は、原則として受理された日の翌々月の末日までです(例:4月1日に受理→6月30日まで)。期限が過ぎると求人は公開されなくなります。2026年3月23日からは、有効期限の14日前から「有効中求人更新予約」ができるようになり、期限が来ると予約した求人に切り替わります(これに伴い、以前の「有効期限延長の申込み」は廃止されました)。
※更新予約をしたあとで、もとの求人の内容の変更や紹介保留などを申し込むと、更新予約は無効になります。求人の内容を直すときは、更新予約の前に済ませておきましょう。
出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」/厚生労働省「『求人者マイページ』の機能が変わります」 手続きの流れを見る 資料を見る
2. 施設の写真を登録する
求人者マイページでは、事業所の画像を10ファイルまで(1ファイル2MBまで)登録でき、画像ごとにタイトルや紹介文も付けられます。画像はハローワークの確認を経て、ハローワークインターネットサービスとハローワーク内で公開されます。紙の求人票には載らないため、画像がなくても求人は出せますが、施設の雰囲気を伝えられる数少ない手段です。
3. 「仕事の内容」と「事業所からのメッセージ」を具体的に書く
ハローワークは、応募したくなる求人にするための入力のポイントを公開しています。介護施設の場合は、施設の種別や規模、1日の流れ、担当する業務の範囲など、働く姿が思い浮かぶ情報を具体的に書きましょう。事業所のPR情報や事業所からのメッセージは、求人票ではなく、ハローワークインターネットサービスと窓口で配られる「求人・事業所PRシート」に載ります。
出典:ハローワークインターネットサービス「事業所情報の入力方法」「求人情報の入力方法」「応募したくなる求人へ!」 事業所情報を見る 入力のポイントを見る
4. オンライン自主応募を受け付けるか決める
オンライン自主応募を受け付けると、窓口に行かずに求人を探している方からも応募を受けられます。一方、応募の通知に施設が自分で気づく必要があり、後で触れる助成金の対象にもなりません。マイページを確認する担当を決められるかどうかで判断しましょう。
5. 求人情報の提供の設定を確認する
ハローワークの求人は、施設が同意すると、自治体等(福祉人材センターなどを含みます)や民間の職業紹介事業者にもオンラインで提供されます。提供先は「自治体等」と「民間人材ビジネス」の2つの区分ごとに、希望しない側だけを外せます。設定は求人の申込み後でも変えられます。提供に同意すると、求人の公開範囲を絞っていても事業所名を含めて提供される点、提供先から有料サービスの案内が来ることがある点に注意しましょう。
出典:ハローワークインターネットサービス「求人情報提供サービス 求人事業主の方へ」 公式ページを見る
6. ハローワークの相談窓口・面接会を使う
一部のハローワークには、医療・介護・保育などの人材確保を専門に支援する「人材確保対策コーナー」があります。事業所を訪問して求人票の書き方や応募しやすい条件の設定を助言したり、有資格者に求人を案内したり、面接会や事業所説明会を開いたりしています。また、「医療・福祉ささえる求人充足プロジェクト」では、人員配置基準を満たすために急いで採用したい「急募求人」に、面接会の早期開催などで対応しています。いずれも利用は無料です。
出典:厚生労働省「人材確保対策コーナー」「医療・福祉ささえる求人充足プロジェクト」(リーフレット) 人材確保対策コーナーを見る プロジェクトを見る リーフレットを見る
ハローワーク等の紹介で採用すると使える助成金
ハローワークなどの紹介を経て採用したことが条件になる助成金があります。代表的なのは次の2つです(金額・条件は2026年10月時点)。
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース):60歳以上の方、母子家庭の母等、障害のある方など、就職が難しい方を、ハローワーク等の紹介で継続して雇用する労働者として雇い入れた場合の助成金です。たとえば中小企業が60歳以上の方や母子家庭の母等を雇い入れた場合、週30時間以上の勤務で60万円、週20時間以上30時間未満の勤務で40万円です。2026年5月1日以降の紹介分から、60歳以上の方はハローワーク等で個別の支援を受けている方に限られるようになりました。また、原則として、助成金の対象者であることを明示した職業紹介を受ける必要があります。
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース):就職が難しい方を、ハローワーク等の紹介で原則3か月の試行雇用(トライアル雇用)として受け入れた場合に、1人あたり月額最大4万円(最長3か月)が支給されます。週30時間以上の無期雇用を前提とした制度で、事前にトライアル雇用求人を出しておく必要があります。
オンライン自主応募で採用した場合は、どちらの助成金も対象になりません。また、紹介を受ける前に選考を始めていた場合や、求人サイトなどで応募を受けた方を、あとから形式的にハローワークの紹介に切り替えた場合も対象外です。助成金を使う予定がある場合は、募集を始める前にハローワークに相談しておきましょう。
どちらの助成金も、雇用保険への加入など、ほかにも支給の条件があります。申請の前に、都道府県労働局またはハローワークで最新の条件を確認してください。
出典:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」 特定求職者雇用開発助成金を見る トライアル雇用助成金を見る
まとめ
ハローワークの介護求人は、求人100人分に対して就職が約7人と、全職業より埋まりにくい状況です。一方で、介護事業所の約3分の2がハローワーク等を使い、そのうち4割超が採用に効果があったと答えています。介護の仕事をしている人の約5人に1人は、ハローワークを経由して今の職場に就職しています。
応募が届く経路ごとに誰が対応するかを決め、有効期限の管理、写真や仕事内容の充実、ハローワークの相談窓口の活用まで、できるところから見直してみてください。