東京都内の介護施設で夜勤をしている方、夜勤のある仕事を探している方に向けて、東京都の最低賃金と、夜勤のうち深夜の時間の時給の下限、自分の給料が下回っていないかの確かめ方をまとめました。記事中の金額は2026年度(令和8年度)のものです。
この記事の結論
- 東京都の最低賃金は、2026年10月1日から時給1,280円です(前年度の1,226円から54円の引き上げ)。年齢やパート・アルバイトなど働き方にかかわらず、都内の施設で働くすべての人に適用されます。
- 深夜(午後10時〜午前5時)は25%以上の割増が必要なので、深夜の時間の時給の下限は1,280円 × 1.25 = 1,600円です。
- 月給の人は、皆勤手当・通勤手当など計算に入らない手当を除き、まずは夜勤手当も入れずに時給に直して、1,280円以上かを確かめます。夜勤手当のうち深夜割増にあたる部分は計算に入りません。
- 2交代の16時間夜勤(実際に働く時間14時間・うち深夜5時間)なら、最低賃金ちょうどの時給で1回19,520円以上が目安です(1か月単位の変形労働時間制の場合)。
- 下回っていそうなときは、給与明細と労働条件通知書を手元に、総合労働相談コーナーや労働基準監督署(無料)に相談できます。
東京都の最低賃金は時給1,280円(2026年10月1日から)
2026年度の東京都の最低賃金(地域別最低賃金)は時給1,280円で、2026年10月1日から効力が発生しています。前年度の1,226円から54円の引き上げで、47都道府県でもっとも高い金額です。
東京労働局は、10月1日以降の労働に対して1,280円以上を払わないことは最低賃金法違反になるとしています。10月1日より前から働いている人も、給料の締め日が月の途中でも、10月1日以降に働いた分からは1,280円以上が必要です。
最低賃金は、住んでいる場所ではなく働いている事業場(施設)がある都道府県の金額で決まります。神奈川県・埼玉県・千葉県から都内の施設に通っている人は東京都の1,280円、都内に住んで隣の県の施設で働いている人はその県の金額です。派遣で働いている場合は、派遣先の施設がある都道府県の金額になります。
| 都県 | 最低賃金 | 深夜の下限 |
|---|---|---|
| 東京都 | 1,280円 | 1,600円 |
| 神奈川県 | 1,279円 | 1,599円 |
| 埼玉県 | 1,196円 | 1,495円 |
| 千葉県 | 1,195円 | 1,494円 |
※4都県とも発効日は2026年10月1日です。深夜の下限は最低賃金に1.25を掛け、1円未満を四捨五入した金額です(神奈川県は1,598.75円、千葉県は1,493.75円)。ほかの道府県の金額は、夜勤の最低賃金の記事の最後に一覧があります。
出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」/東京労働局「東京都最低賃金は10月1日から時間額1,280円になります」/厚生労働省「最低賃金制度の概要」/最低賃金法 第13条 全国一覧を見る 東京労働局の発表を見る 制度の概要を見る 最低賃金法を見る
時給1,280円なら、深夜(午後10時〜午前5時)は1,600円以上
労働基準法では、午後10時から午前5時までの間に働いた時間について、通常の時給の25%以上を上乗せした割増賃金(深夜割増)を払うことが決められています。
一方、最低賃金と比べる賃金からは、この深夜割増の部分が除かれます。つまり、上乗せする前の時給が1,280円以上で、そのうえに25%以上が上乗せされている必要があります。
東京都の深夜(午後10時〜午前5時)の時給の下限
1,280円 × 1.25 = 1,600円
1,600円は、時給が最低賃金ちょうどの場合の下限です。時給がそれより高い場合は「自分の時給 × 1.25」以上になります(例:時給1,400円なら深夜は1,750円以上)。給与明細に深夜手当(深夜割増)の行がなく、深夜の時間にも昼と同じ時給しか出ていない場合は、深夜割増が払われていない可能性があります。
深夜の時間が残業や休日の労働と重なると、割増率はさらに上がります。時給1,280円の場合の下限は次のとおりです。
| 働いた時間 | 割増 | 時給の下限 |
|---|---|---|
| 深夜 | 25%以上 | 1,600円 |
| 深夜の残業 | 50%以上 | 1,920円 |
| 休日の深夜 | 60%以上 | 2,048円 |
※「残業」は法律で決められた労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働、「休日」は法律で決められた休日(毎週1日または4週4日)の労働です。変形労働時間制の職場では、時間外労働の数え方が変わります。1か月60時間を超える時間外労働が深夜に及んだ部分は75%以上です。
出典:労働基準法 第35条・第37条/労働基準法施行規則 第20条/最低賃金法 第4条第3項・最低賃金法施行規則 第1条/福井労働局「福井県の深夜割増賃金」(最低賃金 × 125% の計算例) 労働基準法を見る 労働基準法施行規則を見る 最低賃金法施行規則を見る 福井労働局の資料を見る
自分の給料で確かめる方法
時給で働いている場合
給与明細で、次の2つを確かめます。
- 時給が1,280円以上か:試用期間や研修期間の時給も同じです(勤務先が都道府県労働局長の許可を受けて減額の特例が認められている場合を除きます)。
- 深夜の時間の分に25%以上が上乗せされているか:明細の「深夜手当」「深夜割増」などの行と深夜の時間数を見て、「時給 × 0.25 × 深夜の時間数」以上が出ているかを確かめます。
「夜勤時給1,580円」のように夜勤の時間全体に同じ時給が付いている場合も、午後10時〜午前5時の分には、さらに25%以上の上乗せが必要です。その時給に深夜割増が含まれているという説明なら、上乗せ前の時給は 1,580円 ÷ 1.25 = 1,264円 となり、1,280円を下回ります。
出典:厚生労働省 最低賃金特設サイト「ポイント!最低賃金|適用される対象者は?」/福井労働局「福井県の深夜割増賃金」(裏面 例1:深夜割増を含んだ時給は1.25で割ってから最低賃金と比べる) 特設サイトを見る 福井労働局の資料を見る
月給で働いている場合
月給の場合は、次の式で時給に直してから1,280円と比べます。
計算に入る月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 1,280円
1か月平均所定労働時間は、1年間の所定労働時間を12で割った時間です。1日8時間で年間休日が分かっている場合の目安と、東京都で必要になる月額は次のとおりです。
| 年間休日 | 1か月平均 所定労働時間 | 計算に入る 月給の下限 |
|---|---|---|
| 105日 | 173.4時間 | 221,952円 |
| 110日 | 170.0時間 | 217,600円 |
| 115日 | 166.7時間 | 213,376円 |
| 120日 | 163.4時間 | 209,152円 |
※1年を365日・1日8時間として計算し、時間は小数第2位を切り上げた目安です。所定労働時間や年間休日は、労働条件通知書や就業規則で確かめられます。
「計算に入る月給」は、実際に払われる賃金から次のものを除いた額です。基本給のほか、資格手当・職務手当のように毎月決まって払われる手当は計算に入ります。
- 残業代(所定の労働時間を超えて働いた分の賃金)、所定の休日に働いた分の賃金
- 深夜割増(夜勤手当のうち深夜割増にあたる部分も含みます)
- 皆勤手当・精勤手当、通勤手当、家族手当
- 賞与など1か月を超える期間ごとに払われる賃金、結婚手当など臨時に払われる賃金
出典:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」/「最低賃金の対象となる賃金」/最低賃金法施行規則 第2条 確認する方法を見る 対象となる賃金を見る
夜勤手当は、まず入れずに計算する
夜勤手当のうち深夜割増にあたる部分は、最低賃金の計算に入りません。夜勤手当がどこまで深夜割増にあたるかは手当の決め方によって違ううえ、夜勤の回数で毎月の額も変わるので、まずは夜勤手当を入れずに計算してみてください。それで1,280円以上なら、夜勤手当の中身にかかわらず下回っていません。
計算例:東京都の施設・年間休日110日・1日8時間(1か月平均170時間)
月給:基本給195,000円/資格手当15,000円/皆勤手当10,000円/夜勤手当 1回6,000円 × 4回 = 24,000円(ほかに通勤手当)
全部足して時給に直すと:244,000円 ÷ 170時間 = 約1,435円
夜勤手当と皆勤手当を除いた分(基本給+資格手当=210,000円)で直すと:210,000円 ÷ 170時間 = 約1,235円
全部足すと1,280円を上回って見えますが、夜勤手当と皆勤手当を除くと下回ります。1,280円に届くには、この部分が月217,600円以上(1,280円 × 170時間)必要で、この例では月7,600円足りません。
このように夜勤手当を入れないと下回る場合は、夜勤手当の中身(深夜割増を含むかどうか)によって判断が変わることがあります。次の項目で夜勤手当の決め方を確かめ、それでも分からなければ、後で紹介する相談先で確認してください。
夜勤手当に深夜割増が含まれているかを確かめる
夜勤手当の決め方は、大きく2つに分かれます。就業規則・賃金規程や労働条件通知書、給与明細で、どちらにあたるかを確かめてみてください。夜勤のある仕事に応募するときも、面接や労働条件通知書で同じ点を確かめておくと安心です。
- 夜勤手当に深夜割増を含めている場合:手当のうちどこまでが深夜割増にあたるのかが、ほかの部分と区別されている必要があります。そのうえで、深夜割増にあたる部分が法律の計算方法で出した額以上でなければならず、足りなければ差額が払われる必要があります。
- 夜勤手当とは別に深夜割増を払っている場合:明細に「深夜手当」「深夜割増」などの行があり、法律の計算方法で出した額以上が出ているかを確かめます。
法律で必要な深夜割増は、深夜割増の元になる時給 × 0.25 × 深夜の時間数です。元になる時給には、最低賃金の計算では除く皆勤手当なども入ります。除けるのは家族手当・通勤手当・住宅手当など法律で決められた7種類だけで、それも名前ではなく中身で決まります(全員に一律の額で払う住宅手当などは入ります)。
上の計算例なら、元になる時給は(基本給+資格手当+皆勤手当=220,000円)÷ 170時間 = 約1,294円で、深夜割増は1時間あたり約324円です。深夜5時間の夜勤1回で約1,618円、月4回で約6,471円以上が必要になります。夜勤手当6,000円に深夜割増を含めているなら、そのうち深夜割増にあたる部分が1回あたりこの額以上になっているかを確かめます。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 Q&A 基本給に含めた割増賃金って何?」/労働基準法 第37条第5項・労働基準法施行規則 第21条/厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」 Q&Aを見る 割増賃金の基礎の資料を見る
2交代の16時間夜勤、1回いくら以上?
時給や日給で夜勤に入っている方は、夜勤1回でいくら以上になるかでも確かめられます。2交代の夜勤でよくある勤務時間を例に、東京都の最低賃金ちょうどの時給で計算すると次のとおりです。
計算例:時給1,280円・17時〜翌9時(拘束16時間)・休憩2時間(午前1時〜3時)
実際に働く時間14時間、そのうち深夜(午後10時〜午前5時)5時間
通常の賃金:1,280円 × 14時間 = 17,920円
深夜割増:1,280円 × 25% × 5時間 = 1,600円
合計:19,520円以上
これは、1か月単位の変形労働時間制(1か月以内の期間を平均して週40時間以内に収まるように、1日8時間を超える日をシフトで前もって決めておける制度。常時10人未満の保健衛生業の事業場などは週44時間以内)で、夜勤の日の所定労働時間を14時間と決めている場合の計算です。休憩2時間を実際に取れていることも前提にしています。
変形労働時間制を使っていない職場では、8時間を超えた6時間が時間外労働になり、25%以上の割増がかかります。そのうち午前3時〜5時の2時間は時間外と深夜が重なって50%以上です。この場合は夜勤1回21,440円以上になります。自分の職場が変形労働時間制かどうかは、労働条件通知書や就業規則の労働時間の欄で確かめられます。
出典:厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制」(リーフレットシリーズ労基法32条の2)/労働基準法 第37条/労働基準法施行規則 第20条 変形労働時間制の資料を見る
日給・夜勤専従の場合
「夜勤1回〇円」の日給で働いている場合は、日給に深夜割増が含まれているかどうかで計算が変わります(夜勤1回の所定労働時間が、実際に働く時間と同じ場合)。
- 深夜割増が日給とは別に出ている:日給 ÷ 夜勤1回の所定労働時間 が1,280円以上か
- 日給に深夜割増が含まれている:日給 ÷(実際に働く時間 + 深夜の時間 × 0.25)が1,280円以上か
たとえば深夜割増込みの日給19,000円・実働14時間・うち深夜5時間なら、19,000円 ÷(14 + 5 × 0.25)= 19,000円 ÷ 15.25 = 約1,246円で、1,280円を下回ります。上の例と同じ勤務なら、深夜割増込みの日給は19,520円以上が目安です。
この式は、上の例と同じく1か月単位の変形労働時間制の場合のものです。変形労働時間制を使っていない職場では、8時間を超えた分の時間外の割増も日給に含まれることになるため、割る数はさらに大きくなります(この例では 14 + 6 × 0.25 + 5 × 0.25 = 16.75 で、日給は21,440円以上が目安)。
出典:最低賃金法施行規則 第2条/福井労働局「福井県の深夜割増賃金」(裏面 例1) 最低賃金法施行規則を見る 福井労働局の資料を見る
下回っていそうなときの相談先
まず手元の書類をそろえる
- 給与明細:基本給・手当の内訳、深夜の時間数と深夜手当
- 労働条件通知書(雇用契約書):時給・月給、所定労働時間、変形労働時間制かどうか
- 就業規則・賃金規程:夜勤手当に深夜割増を含むかどうか(常時10人以上が働く職場には就業規則を作る義務があり、作った就業規則は職場で見られるようにしておくことが法律で義務づけられています)
- 勤務表・タイムカード:実際に夜勤に入った日と時間
内訳の分からない点は、まず勤務先の給与の担当者に確かめてみてください。
東京都内の公的な相談先
- 総合労働相談コーナー:東京労働局(千代田区九段南)と有楽町のほか、都内の各労働基準監督署の中などにあり、23区以外にも八王子・立川・青梅・三鷹・町田にあります。賃金を含む労働問題全般について、専門の相談員が面談か電話で対応し、予約不要・無料です。受付は平日の午前9時〜午後5時(有楽町は午前9時30分〜午後5時30分。土日・祝日・年末年始は休み)。法律違反の疑いがあるときは、労働基準監督署などに取り次いでもらえます。都内の固定電話からは、フリーダイヤル 0120-601-556(有楽町のコーナーにつながります)でも相談できます。
- 労働基準監督署:最低賃金や深夜割増が払われていないなど、法律違反があるときに申告して、是正を求めることができます。申告したことを理由に、解雇などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
- 労働条件相談ほっとライン(0120-811-610):厚生労働省の委託事業の電話相談で、平日の夜(午後5時〜午後10時)と土日・祝日(午前9時〜午後9時)に、無料・匿名で相談できます(12月29日〜1月3日は休み)。ほっとラインから事業場への指導はできないため、是正を求めるときは労働基準監督署へ相談します。
最低賃金より低い賃金で合意していても、その部分は無効になり、最低賃金と同じ額で約束したものとみなされます。払われていなかった賃金は、支払日から3年以内であれば請求できます。
出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」/東京労働局「総合労働相談コーナー」「労働基準監督署の管轄地域と所在地一覧」/厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」/最低賃金法 第4条第2項・第34条/労働基準法 第89条・第104条・第106条・第115条・第143条第3項 総合労働相談コーナーを見る 東京労働局の相談コーナーを見る 都内の労働基準監督署を見る ほっとラインを見る 最低賃金法を見る 労働基準法を見る
まとめ
東京都の最低賃金は2026年10月1日から時給1,280円で、深夜(午後10時〜午前5時)の時間はその1.25倍の1,600円以上が下限です。月給の人は、夜勤手当や皆勤手当などを除いて時給に直すと、総額では見えなかった不足に気づくことがあります。給与明細と労働条件通知書で一度確かめ、分からない点は勤務先や公的な相談先に確認してみてください。翌年度以降は、東京労働局や厚生労働省で最新の金額を確認してください。
大阪府の施設で働いている方は、大阪府の最低賃金と深夜の時給の記事をご覧ください。
求人を出す施設の方へ:夜勤手当の内訳の分け方や求人票での書き方は、夜勤の最低賃金の記事でまとめています。
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